●熱の移動
熱は熱いところから冷たいところへ移動します。
●気化熱
水が蒸発する際には、周囲の熱を奪います。
この熱を気化熱といいます。
この原理を利用して、冷房用の水(冷水)を作ります。
●冷媒
熱の運搬役となる物質を冷媒といいます。
冷媒は液体から気体になるときに熱を奪い、その熱を放出して再び液体となって、繰り返し仕事をします。
吸収式冷凍機
吸収式冷凍機では、水を冷媒に使用しています。
水は、大気中では100℃で沸騰しますが、圧力が下がって真空に近い状態になると、約5℃で沸騰します。
真空中にある冷房用に使う水(冷水)が通ったパイプへ冷媒をたらすと、パイプの熱を奪って蒸発するのでパイプの中の冷水が冷やされます。
冷房用の冷水をつくる
- 真空に近い状態で冷媒(水)を蒸発させ、気化熱でパイプを通る冷水を冷やす
- 蒸発器の中は真空に近い状態になっているので、滴下した冷媒(水)が約5℃で蒸発する
- このときの冷媒(水)の気化熱によってパイプ内を通っている冷水を約7℃に冷やして冷房に使用する
蒸発器の蒸気を吸収する
- 臭化リチウム⽔溶液に冷媒(蒸気)を吸収させる
- 冷媒(蒸気)を吸収させることで、蒸発器の圧力は常に低い圧力のまま保たれる
- 冷媒(蒸気)を吸収するときに発熱するので、パイプ内を通る冷却水で冷やす
薄くなった臭化リチウム⽔溶液を元の濃さに戻す
- 冷媒(蒸気)を吸収して薄くなった臭化リチウム水溶液を蒸気で加熱する
- 加熱され気化した冷媒(蒸気)を凝縮器に送る
- 元の濃さに戻った臭化リチウム水溶液を吸収器に送る
再生器で分離された冷媒を凝縮する
- 冷媒(蒸気)は、パイプ内を通る冷却水で冷やして冷媒(水)になる
電動ターボ冷凍機
電動ターボ冷凍機では、フロンを冷媒に使用しています。
冷媒を圧縮すると熱が発生し、膨張すると熱を奪う性質を利用しています。
冷房用の冷水をつくる
- 気液混合状態の冷媒は、パイプ内を通る冷水から熱を奪い蒸発する
- このときの冷媒の気化熱によってパイプ内を通っている冷水を、約7℃に冷やして冷房に使用する
- 蒸発器を出る時点で冷媒は全てが気化して、低圧の冷媒ガスになる
冷媒の圧力と温度を上げる
- 気体の冷媒を圧縮すると、冷媒の圧力と温度が上がる
- 高圧にすることで沸点を上げ、液化しやすくなる
気体の冷媒を凝縮する
- 高温になった気体の冷媒は、パイプ内を通る冷却水で冷やして液体になる
冷媒の温度と圧力を下げる
- 冷媒を膨張させて、圧力と温度を下げる
- 一部の冷媒は気化し、気化熱で冷媒自身が冷却され低温低圧で気体と液体が混合した状態になる
※冷却水: 冷凍機と冷却塔を循環する水です。冷凍機の熱を冷却塔に運び大気に放出しています。